kunsun’s diary

~日々、小さな愉しみをさがして~

糖尿病で認知症のおばあちゃん介護日記~物の在り処がわからない、見つからない症候群

「探して」の言葉に振り回されるの巻

 物を盗られたと思う事は、ものが見つからないという事です。置いた場所やしまい込んだ場所を忘れてしまうからです。「盗られる」との妄想からますます用心深くなり、どんどんややこしい所へ隠そうとします。そして物が見つからなくなり、介護者に「探して」と頼むことになります。前日に探した物もあれば、さっき探して見つかったのにもう行方不明・・・ということも。そしてこれが延々と続いたりします。介護者には本当に忍耐力が必要です。

 我が家でも、「通帳がない!」とおばあちゃんが大騒ぎしたことがありました。一緒に探しましたがなかなか見つからず、あちこち探した結果、ベッドの分厚いマットレスの下敷きになった通帳が見つかりました。常識的にタンスの引き出しを探しても見つかるはずがありません。かなり小柄なおばあちゃんですが、盗られないようにと用心して、自分で重いマットレスを持ち上げて隠したのでしょう。そして忘れてしまったのです。そのような事はよくあります。

 おばあちゃんは買い物が大好きだったので、物をたくさん持っています。お財布もバッグもたくさん持っています。それぞれのお財布に小銭や紙幣が入れられていました。そして「財布がない、探して」と呼ばれるのです。暇な人でもいちいち呼ばれれば大変ですが、仕事をしていればなお忙しく時間がありません。夫があれこれネットで検索し、キーホルダーで取り付ける形のリモコンで音を鳴らせるセンサーを見つけました。財布にキーホルダーで取り付けて置き、財布が行方不明になったらリモコン操作で音を鳴らします。するとタンスの奥深くからでもピピピーここにありますよーと教えてくれます。その名も『どこいっ太郎』。これは良いと財布に取り付けました。おばあちゃんにも「これで安心だね」と夫が話しました。5個セットでしたので、財布や小さいポーチなどに取り付けました

ところが…

 ある日のこと、いつもの「探して」との依頼に、よしきた!とリモコン操作で音を鳴らしました。あーつけておいて良かったと感謝したのも束の間、見つかった財布は中身が空っぽ。他の財布も、音を鳴らして見つけて確認すると中身は空っぽ…。そうです、探し当てられる危険を察知したおばあちゃんは、キーホルダーのついていない別の財布にことごとく大切なお金を移していたのです。

 敵もさるもの…センサーは虚しくタンスの奥にしまわれました。

ーつづくー